 1・2年生スキー授業(2)
高校3年の卒業間近のお正月。私は教師になろうと、大学受験に向けて一生懸命勉強していました。しかし、私の実力では簡単に教師にはなれないと感じていました。田舎育ちでしたので、都会への憧れも強く、華やかな芸能界にも大変興味がありました。そのため、大学進学で上京したら、歌手にも挑戦してみたいと本気で考えていました。今思うと、本当にあきれた馬鹿丸出しの夢です。 大学にかろうじて合格でき、3月初旬に上京し、新聞配達をしながらの苦学生としての生活が始まりました。どうしても、1度だけ挑戦してみたくて、日本テレビの「スター誕生」に応募しました。すると、2か月後に連絡が来て、日本テレビの別館で行われる「スター誕生」の予選会に出ることになりました。当時は山口百恵、中森明菜、ピンクレディーなど偉大な歌手たちが、この「スター誕生」から歌手としてデビューしていました。 私は大学の仲間に付き添ってもらい、日本テレビの別館の4階で受付をしました。なんと1200人が予選会に来ていました。そのうち男性は、たったの14人でした。200人ずつホールに入り、順番に歌を1人4小節くらい歌います。私の番が来て、ピアノ伴奏が始まり、私は近藤真彦の「ギンギラギンにさりげなく」という曲を歌いました。すると、たった2小節でブザーが鳴ってしまいました。前の日にパーマをかけ、当日はアーミーシャツを着て、少しはかっこつけていきましたが、あっという間に終わってしまいました。最終審査の10人に選ばれたら、「スター誕生」の本選までに、基本的なレッスンを受けてテレビに出られたのですが、私はあっけなく不合格となり、夢ははかなく破れました。 合格は無理だと分かっていましたが、思い切って挑戦した熱い思いと挑戦は、私の人生において、悔いもなく、今ではとても貴重な思い出となっています。
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