校長室から__

学校だより12月号 事故に遭わない楽しい冬休みを 校長 相澤 顕



吹奏楽部によるお昼休みのミニコンサート

 先月、第2回避難訓練を行いました。理科室から火災が発生したという想定で、全校生徒が駐車場へ避難しました。避難完了までに要した時間は約3分程度と迅速に避難できました。避難後の態度も大変立派で、指導に来てくださった上越北消防署の方からは「大変素晴らしい避難訓練でした」というお褒めの言葉をいただきました。指示をよく聞き、真剣な態度で避難する、避難場所では整然と並ぶ、しっかり話を聞く・・私は東中17年目ですが、こんなに立派な態度で行われた避難訓練は初めてで驚きました。避難訓練の目的をよく理解して参加していた生徒の姿を、とてもうれしく思いました。
さて、避難訓練はある程度予告したり、事前指導を行ったりしているので、混乱なくスムーズに避難できます。しかし、災害や命にかかわる危険はいつ降りかかってくるか分かりません。近年は、甚大な被害をもたらす自然災害が多発しています。私も今までに何度か命の危険に晒された経験があります。



新婚旅行でイギリス・フランスに行った時のことです。飛行機に約11時間も乗り、深夜11時過ぎにイギリスのホテルに着きました。部屋に入って約30分後、荷物を整理していると、いきなり非常ベルが鳴り響きました。そして、部屋の外から「火事だー」という叫び声が何度も聞こえてきました。私は驚き、慌てて部屋の外に飛び出しました。廊下は煙に包まれ、外国人が泣き叫びながら階段から逃げて行きました。私は妻を連れて逃げようとドアノブを回しました。しかし、オートロックだったため、部屋に入れません。仕方なく、ドアを叩いて早く部屋から出てくるように何度も叫びました。その間も、何人も階段から逃げて行きました。ようやく、部屋から出てきた妻と一緒に1階のロビーまで逃げ、難を逃れました。その後、数人の消防隊が消防ホースを持って階段を駆け上がって行きました。



火災の原因は、私の部屋の下の階で寝ていた人のタバコの不始末でした。その部屋は焼けたみたいですが、ホテル全体は燃えずに済みました。それにしても、これまでこんな経験をしたことがないのに、よりによって新婚旅行、しかも深夜、外国という知らない土地での災難に、本当に命の危険を感じました。火災の難からは逃れたものの、妻からは「私を置いて逃げた」とずっと言われ続け、今も悲しい思い出として記憶に残っています。
 「災害は忘れた頃にやってくる」とよく言われます。「自分の命は自分で守る」という思いを常にもつことが大切です。どうか事故に遭わない楽しい冬休みをお迎えください。そして、新しい年を迎えた3学期、元気な東中生に会えることを心から楽しみにしています。


2023年12月27日