校長室から__

学校だより8月号 「60歳になって初めて語れること」 校長 相澤 顕



直江津祇園祭 吹奏楽部演奏

 33日間の夏休みが終わり、2学期がスタートしました。生徒はたくさんの思い出を作り、元気に登校してきました。2学期は体育祭、音楽祭等の大行事があります。「チーム東中魂」を遺憾なく発揮してほしいと思います。
さて、私は5月に60歳還暦を迎えました。60歳になった今、これまでの人生を懐かしく振り返ることがよくあります。その中で、これまで、ほとんど他人に話すことができなかったことが一つだけあります。



 それは、右腕に火傷の痕があることです。私は、小学校1年生の時、転んで熱いラーメンの丼に右腕を突っ込み、火傷しました。父親が不在で、母親が耕運機を運転して診療所まで連れて行ってくれました。しかし、お医者さんも不在でした。そのため看護師さんが治療してくれましたが、右腕に大きな火傷の痕が残ってしまいました。私は小学校高学年頃から、その火傷がとても気になり、半袖姿になるのが本当に嫌でした。特に、体育や水泳、陸上大会がとても嫌いでした。中学生になってからも、教室の座席は右端の列になると元気に反応し、左端の席になると静かにしていたので、仲間や担任の先生には変わった生徒だと、きっと思われていたことでしょう。部活動で柔道を選んだのも、柔道着が長袖であり、右腕にサポーターをすれば火傷が見えないと思ったからでした。火傷を見られたくないので、本当は体育ではなく、社会の先生を目指しましたが、大学受験で見事失敗しました。先生になってからも、火傷は隠し通し、結婚してからもずっと家族にも内緒にしていました。45歳を過ぎた頃、父母に火傷を気にしていたことを話すと、笑いながら、「そんなに悩んでいたとは知らなかった。」とあっさり言われました。妻にも話したら、「フーンそうだったの。」と軽く流されてしまいました。私がどんなにつらく悩んでいたのかなんて、全く理解できなかったのでしょう。



 子供たちの中にも、きっと私たちに話せない色々な悩みや隠し事がある子がいると思います。周りからしたら、本人が思っているよりたいしたことではなくても、本人にとっては本当につらく悲しいこともあるでしょう。
 夏休み明けは、特に学校に来るのが嫌になる時期です。どんな悩みでも誰かに相談できる環境があることが、とても大切です。目の前の子供たちには、私のように60歳になるまで悩み続ける苦しみを、味わわせたくありません。悩んでいる子供たちが、安心して気軽に相談できる先生であり、学校でありたいと強く思います。
思春期の子供たちには、悩みはつきものです。しかし、どんな悩みでも、素直に相談し、それを乗り越えてほしいと願います。そして、それを素晴らしい成長につなげ、東中生がさらに輝いてほしいと願っています。保護者の皆様、2学期もどうぞよろしくお願いいたします。


2023年08月31日