校長室から__

夏休みの思い出はマラソン ? (学校便り7月号)



県大会 剣道団体戦

 新型コロナウィルス感染症拡大防止に終始した1学期でしたが、生徒は落ち着いて生活し、教育活動が無事終了できたことに安堵しています。これもひとえに保護者の皆様のご理解・ご協力のおかげと感謝申し上げます。
さて、明日から夏休みです。生徒はとても楽しみにしていることでしょう。悔いのない充実した夏休みにしてほしいと願います。私の中学時代の夏休みの思い出の1つを紹介します。

 私の出身中学校は、山奥の小さな学校でしたが、マラソンの強い先輩が数多くいました。しかし、駅伝大会では残念ながら、13年間優勝できないままでした。
私は柔道部でしたが、1年生から特設駅伝部のメンバーに選出されていました。1年生、2年生の時は、「どうせ優勝なんてできるわけない」と夏休みの練習をさぼってばかりいました。ですから、いつも補欠で、1度も駅伝大会に出たことはありませんでした。
3年生の最後の夏休みも、学校から往復6キロを走る駅伝コースをゆっくり適当に走っていました。時には、コース途中にある温泉に入って帰ってくるという、いい加減な態度でした。顧問の先生は、私のやる気のなさにあきれていました。
 2週間近くこんな日が続くと、私は罪悪感にさいなまれるようになりました。「先生や仲間に申し訳ない」そんな思いから、「最後だから真剣にやってみよう」と気持ちを切り替えました。自分からグラウンド15周を10分しか休まず2回も必死に走ったり、6キロのコースを12キロコースにして仲間と競争したり、暑い中筋力トレーニングをしたりと倒れそうになるまで歯を食いしばって練習しました。また、学校の練習だけでなく、自主的に家でも夜道を走るなど夢中で練習し、残りの夏休みのすべてを走ることに注ぎ込みました。
 そして、迎えた大会当日。奇跡が起こり、1区・2区は2位通過、3区でトップになり、4区では2位という好順位で5区の私にたすきが託されました。「追い越されたらどうしよう」と不安に思いながら、150m前を走るトップの選手を必死に追いかけました。不思議と調子よく、自分でも信じられないくらいにスピードが出て、あっという間に前を走る選手を追い抜き、1位(区間新記録)で6区にたすきをつなぎました。その後は、1位を譲ることなく9区最終ランナーまでたすきをつなぎ、14年ぶり2回目の優勝をすることができました。私は、あまりにもうれしくて仲間と抱き合って泣いてしまいました。この経験は、後の私の人生に大きな影響を与えたといっても過言ではありません。目標をもって努力することの大切さを学んだこの中3の夏休みは、一生忘れられないものとなりました。

 今の学年での夏休みは一度きりしかありません。だからこそ、夏休みにしかできない、思い出に残る体験をしてほしいと思います。2学期始業式には、一回り大きく成長した元気な顔が揃うことを楽しみにしています。






2022年07月26日