校長室から__

校長室から 5月 教師にとっての最大の喜び   相澤 顕



全校朝会より

 青田を渡る初夏の風がさわやかな季節となりました。令和4年度がスタートして早2か月が経ちました。いまだ新型コロナウイルス感染症の終息が見られず、「新しい生活様式」の下での学校生活が続いています。しかし、1年生を加えた新体制での各部活動も軌道に乗り、生徒総会などの生徒会行事も実施できています。コロナ感染のため、急に遠足が延期となり、生徒には悲しい思いをさせてしまいましたが、現在、計画を練り直し、実施に向けて準備を進めています。今後もできる限り教育活動を止めることなく、生徒が楽しく元気になれる学校を目指し、職員一同全力で取り組みます。今後もご理解と温かいご支援をお願いいたします。

さて、先日、東中卒業生の柔道部の教え子が学校に挨拶に来ました。事前に「先生が校長先生で東中に戻って来られたと聞き、大変お忙しいと思いますが、ご挨拶に行ってもよろしいでしょうか。」と丁寧な口調で電話連絡がありました。私は、とても懐かしく、そしてとてもうれしく、「どうぞ、どうぞ。」と訪問を快諾しましたが、本当は気持ちの中に焦りと不安が少しありました。なぜなら、その生徒が在学中、私はかなり厳しく指導していたので、「ひょっとして恨まれていないかなあ。」とか「あの頃のことを文句言われたりしないかなあ。」などと思っていたからです。当時、その生徒は柔道の強い選手でしたが、礼儀正しい立派な人になってほしいと思い、本当に厳しくその生徒にかかわっていました。今思えば、若気の至り、熱血というか、その当時の指導を振り返ると厳しさだけでなく冷たさもあったかなとかなり反省していました。

 職員玄関に来たと連絡があり行ってみると、そこには中学生時代よりも二回りも大きくなった立派な好青年がいました。「先生、お久しぶりです。その節は大変お世話になりました。」と、深々とお辞儀をして丁寧に挨拶されました。あまりにも立派な態度に感動しながら、校長室に案内し、今までの色々な話を聞きました。高校では剣道部、大学ではジャグリング部と、常に新たなことに挑戦しながら頑張ってきたこと、中学校時代からの夢であった警察官になったことなど、目を輝かせてうれしそうに話してくれました。特に、警察学校での10か月間に渡る厳しい環境で鍛えられた話には、辛さと重みがありました。「人生でこれほど勉強した期間はありません。」という言葉に、耐え抜いた自信と誇りが感じられました。彼は「警察官として、地域住民の幸せのために精一杯頑張ります。」と言って爽やかに帰っていきました。
 私は彼を見送りながら、体の中がほんのりと温かくなりました。教師になっての喜びはたくさんありますが、最大の喜びは、やはり指導した生徒が立派な社会人となってこうして再会できた時だとしみじみ思いました。中学生時代は思春期真っ盛り。生徒は色々な悩みを抱え、教師の指導がなかなか通らないこともあります。しかし、立派な社会人として出会える日がこうしてやって来るのです。だからこそ、生徒一人一人の成長を願い丁寧な指導に心掛けようと改めて職員に熱く語りました。これからも東中生の輝く未来に期待して、応援し続けます。






2022年06月14日